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片渕須直 - マイマイ新子と千年の魔法



正直言って何を表現したいのか明確な所はさっぱりわからず, 「生命ってすごいなー」と「一緒にいれなくて悲しいなー」って印象だけ受けた. 鼻ズルズルしながら(笑). 冒頭10数分ぐらいは「アンネの日記」や「土方歳三 白の軌跡」みたいに史実を教育的に見せていくのかなーって思ってたんやけど, コレって子供を教育する目的の映画じゃないですよね? 言葉は悪いけど放牧? 「子供は子供なりに答えを見つけて大人を乗り越えればいい」みたいな感じ. 高畑イズムを継承しながら「歩いても歩いても」や「木靴の樹」の神様目線まで発展させた作品じゃない? ってのが上映終了後に気持ちに収まりをつけるためにアーダコーダ考えた結論.

登場する昭和30年代の子供たちの心の動きは個人的には想定外やねんけど否定するほどの展開でもなく「あー, 子供の頃って物事をこういう風に捉えてたかもねー」って処に収まる. カメラとかも子供の目線やねんけど, 出来事の捉え方の誘導がなく事実に反応する人物だけが描写される. テーマがストーリーでなく演出そのものに在り, 観客と映画の関わり方にある. ガール・ミーツ・ガールでなく総体的な人の繋がり. 虐待の傷跡(?)とか理不尽な現実がまわりにたくさん転がってるのに, 観客が想像力を働かせて気付かなければ存在しない物として映画は進む. 理解できない物は存在しないし, 理解できる物はスクリーンに映らなくても存在する. 子供が理解できる範疇で答えを導きだすのも表現しているのかな?

子供の遊びで同じ土地の千年前の子供について想像する場面がある. (想像の中の)千年前の子供も想像を働かせて遊んでいる. 時代は違えど同様に想像力を働かせて遊んでいる子供がいる. 子供の飛躍的な想像力は環境に適応するものであって, 千年前であろうが昭和30年代であろうが現在であろうが千年後であろうが変わりない. その千年前の子供に対する想像力が一転して現代を通して未来の子供に向けられる転機が訪れる. 鈴木タツヨシの港町への殴り込みです. 理不尽な現実への反抗から親とコミュニケーションをとれなかった悔しさへ. 対して, 島津貴伊子は青木新子との断絶から過去への, 亡き母親の幼少時代への共感へ. 想像力が過去から現代, 現代から未来の子供たちへの「心の継承」に向けられる.

想像力は満たされた人間には無くて, 耐えられない経験を積んだ人にあるもので, 現実に立ち向かう武器なんです. 人の成長は基本的に無い物ねだり. 実は運動神経が良くない青木新子が空想に耽るのにも, 色々な年の子供たちが居る中で鈴木タツヨシが遊び仲間を団結させるのにも(鈴木タツヨシは遊び仲間の中では年長だが, 仲間内では年功序列の関係はない), 青木小太郎に裏切られながらも両親が健在の青木新子が年上の鈴木タツヨシの心情を慮れるのにも理由がある気がする.

青木東介の遺伝子の話は世代間の繋がりへの観客誘導なのでしょう.

青木新子が子供なりにアーダコーダと考えて「未来の子供たちとも遊べたら良いな」って折合いの付け方に辿り着くんだけど, その発想が既に子供の発想ではない. 最後の青木新子の引越の見送りの場面では子供たちは今を懐かしむのではなく, それぞれが昭和30年代(現在)ではなく「心の継承」の流れの中で未来を見据えている. 次の世代の始まりです. 子供の成長ははやいもので, やっとこさ昭和30年代の子供たちの雰囲気に馴染んだ観客は突然突き放される. 現実から過去の成長(決断?)と対峙させられる. 観客は巣立ちを見守る寂しい気持ちと, 短時間の自分のルーツと成長の追体験で気持ちが溢れる. 「魔女の宅急便」のラストの町の賞賛とジジの言葉の対比みたいな何とも云えない感覚.

ってな事(?)を押付けがましくないリアリティーのある描写だけで事実として淡々と表現されるから, 観客は「あ!そういう事なのか!え!?どういう事なんだ!?」ってなる. 感覚や印象ではわかるけど, 結論として一言にまとめられない.

「アリーテ姫」を作った片渕須直監督がこんな作品を作るとはまったく予想できなかった. 個人的に「アリーテ姫」はまったく受付けない. 主人公は自分の可能性と限界を知りながら, 他人の価値観を否定し自分の価値観を強要するあの傲慢さが嫌で嫌でたまらない. 「アリーテ姫」では想像力が自己実現の武器として表現されているが, 「マイマイ新子と千年の魔法」では想像力が人間社会で孤立せず共存するための武器として表現されている. 理不尽な現代に生きる子供たちに想像力の使い方を示唆してる. そんで子供を理解してやれない大人に喧嘩も売ってる. いったい何があったんですか? やっぱり「BLACK LAGOON」が影響してるんですか?

初見では確認しきれなかった細かいディテールを確認したいんやけど関西ではもう上映していない.,, 現時点では興行的に失敗してるっぽいのでDVDやBDも販売されるか心配.,, 2010年1月から上映を開始する地域もあるらしいので時間に余裕がある人は是非観てください. 耐えられない状況を物質的な解決でなく, 心的な解決で折り合いを付けてきた人は何かしら感じる事がある作品だと思います. 自分は一周先回りした視点で観てたけど現役の子供がこの作品から何を感じ取るのかも興味がある. 自分とは違う感想が出るやろね. ちなみに横に座ってた5才ぐらいのガキンチョは殴り込みの夜辺りで「飽きた」云うてました(笑).

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福田麻由子、水沢奈子 他

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2009.12.18 | | Comments(0) | Trackback(0) | 映像 / 劇

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