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北村薫 - 空飛ぶ馬

空飛ぶ馬高野文子の表紙に釣られて読んだ北村薫の「わたしと円紫さん」シリーズの第一弾.
主人公の"私"と噺家の"円紫"が日常の謎を解いていく. 普通のミステリとは異なり, 血は出ない. 代わりに日常目にするちょっとした疑問を解いていく. 全体的に会話のやり取りに人物の個性を多く含んでいるので肩に力が入らずすんなりと状況の理解ができるのが嬉しい.
とても丁寧で甘ったるい文体で"神戸在住"にも感じた"小学生が感想文を一生懸命書いて誉めて貰いたい感"を受けた. どちらも女子大生が主人公で天真爛漫すぎてナルシズムに近い物を感じた. でもどっちも好きなんだけど(笑).

肝心の謎解きには納得がいかない所が多々ある. 謎を解くのは"円紫"という大人の噺家で女子大生という無知で常識に乏しい"私"が置いてけぼりな感じが良く表現されていて, 話の流れが理解できなくてもあまり気にならないのでそれにつられてるのだろうか.
自分が理系の所為もあると思うが考察要素と結論との間に論理的な道筋を感じられない. 結論が先に在り後に条件を考えれば完全に否定する事はできないが, はっきり言って妄想の域を出ない. "必要条件"であって"十分条件"でない.
話によっては結論を出さすに妄想(推論)に止めておく事がこの作品の良い所ではあるが, 話によってはコジツケとしか思えない. 若しくは単純に自分の読解力, 理解力の不足.

以下, 気になる, 好きな部分の記録. ネタばれ含む.


「織部の霊」. 主人公の"私"が講師に噺家の"円紫"を紹介され, 話の弾みから講師の記憶を紐解いていく話.
"私"が講師の部屋に入り, 陳列する物から講師の人物像を深めていく様が, 興味深い. ここで既に日常に着眼する姿勢が"私"を通して読者に伝染していく.
『夢の酒』の噺を聞いて雨が降っていると錯覚する描写がある. 自分は『夢の酒』の噺を知らないため, 小説の文章でいきなり事前予告無しで雨が振っていたかのような(勘違い)の文字を見たとき. 疑問に思ったが, 当たり前のように綴られるとそんな気がして, 著者の思惑とはずれていると思うが同様の感覚を得た. すこしこれは面白い.

「赤頭巾」. この本の中で一番好きな短編. "私"が世間話に対する疑問から不倫に気付き人の醜い部分を知ってしまう話.
この話は日常ミステリの特徴を巧く使ってると思う. 普通のミステリだと人が死んだりするので社会的に許されない行為の為, 真相をあばき裁かなければいけない. しかしこの話では, 不倫の可能性を知るが結論は出さす推論にとどめておく. 不倫という行為の良し悪しの判断もしない. むしろ謎を解く行為の良し悪しを説いている. 謎を説いた後に爽快感がなく罪悪感のようなしこりが残る.

「解説」.
"小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います"という言葉がある. これはとても哀しく攻撃的で納得のいく解釈だ.

二つの短編でもそうだが全編通してミステリの要素は登場人物を掘り下げる手段にすぎす. これは人間ドラマが主体である. その為, 謎解きがコジツケな気がする時もあるがそれは仕方ない気がする.

2005.11.24 | | Comments(0) | Trackback(0) | 書籍 / 言葉

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